KATOから発売されたEF58青大将色3種
大宮工場で撮影したEF58-93。
上記の機関車は「青大将」と呼ばれる色をしている。この色はかつて昭和30年代の一時期に特急列車として走り、当時としては斬新な色使いで人気を集めた。
現在でも旧型客車らしからぬ色として、鉄道模型としても人気が高い。
Nゲージ鉄道模型でも、2002年はマイクロエース、ついでKATOから青大将が発売された。
実はNゲージのKATO青大将は1979年頃発売され、1987年カタログからは生産中止品扱いとなってしまった訳だが、現在では各方面で色が薄いという評価を得ている。
ここではその製品を旧青大将と呼ぶことにしよう。
KATO旧青大将
旧青大将の色が実車と異なる・・・色に人気のあった車両である。本当なのかどうか検証する必要があるので調べてみた。
こんな特急列車が走行していた。大宮工場より
実車は昭和33年5月14日より、当時の特急「つばめ」と「はと」が淡緑色に塗り替えられて走行している。その後臨時特急「さくら」も淡緑色で走行し、昭和35年5月31日まで走行している。
だが、なんと昭和30年3月に似たような色の車両が走行していたのである。
それはEF58の4号機である。
思い出の日本国有鉄道 に詳しい解説がある。
http://ef58.info/EF58/58keitai/EF58-tosou.html
上半分を淡緑3号、下半分を緑2号、そしてクリーム2号の帯の試験塗装機関車がある。
EF58-4号機の試験塗装は鮮やかな色としてひときわ人気があったと言われている。極めつけは昭和31年11月郵政省の発行した東海道全線電化記念の切手で、EF58-4号機が描かれている(客車部分は茶色であった)。
だが、この4号機は青大将色と微妙に違うのである。
EF58-4号機の色は淡緑3号、青大将の色は淡緑5号
なのである。
淡緑5号と比較して3号は色が薄いことにその特徴がある。しかも昔の写真には臨時増結のマイ38だけ、色が濃かったりしていた。たぶん色褪せの影響だろう。こうなると間違える人も大勢で出くるだろう。
淡緑色イメージ図 | |
淡緑3号 | |
淡緑5号 |
実は『鉄道ファン』昭和50年8月号43ページにはしっかりと青大将は淡緑3号と間違えていたのであった。どうもこのあたりから混同されていたようだ。
昭和61年大宮工場にて登場したEF58-93号機の青大将は登場時ずいぶん色が濃いなという評価を一部で得てしまった。
カトーの旧青大将の色が薄い理由。
さてそうくるとカンの鋭い方はおわかりになるであろう。カトーさんは色を間違えたのではあるまいか?
それは、ホビーセンターで見つけた1本の塗装ビンによって一気に疑問は解決した。
カトーは「ホビーセンターカラー」という自社の製品に使われる塗料をホビーセンターのみにおいてごく少量販売している。そこでNo.28という塗料に青大将に使われる塗料を発見・購入したのだ。
ホビーセンターカトーで入手。ビンのラベルに注目。
しっかりと淡緑3号と書いてあるではないか。
どうやらカトーは旧青大将を作る際淡緑3号と淡緑5号を間違えてしまったようなのだ。
モリタでは5号を発売している。ビンのふた部分にある色は試し塗りしたものだが、ずいぶん色は濃いのだ。
マイクロエース の青大将はどうか。 マイクロエースの青大将はKATOの新型より薄そうに見える。
青大将の色にいろいろ疑問が生じているのは、後世において淡緑3号と5号の混同が起きていると考えられる。
なお、HOゲージではメーカーによって何とも表現しがたい色もあるが、まだ真相については判っていない。
投稿日:平成14(2002)/2/11